イノベーション・エコシステムとしての都市

東京大学公共政策大学院特任教授
辻田昌弘

山﨑朗 編著『地域産業のイノベーションシステム─集積と連携が生む都市の経済』(2019年学芸出版社刊)所収。

【要旨】

 人口減少時代に突入した日本にとって、経済成長にはイノベーションが不可欠である。なかでも異業種やベンチャー、学術研究機関など組織外の知識や技術を積極的に取り込むオープンイノベーションへの期待が高まっている。しかし「自前主義」という成功体験を持つ日本企業はオープンイノベーションに対して苦手意識を持っている。

 そんな中、「イノベーションの孵卵器」としての都市の役割が近年注目を浴びている。魅力的な都市は多様な才能を有する人材を惹きつけ、そうした人材の集積が都市のクリエイティビティを高めるという好循環が起きるからだ。グローバルな都市間競争は、イノベーションを生み出す生態系(エコシステム)をいかに創出できるかにかかっているといっても過言ではない。

 本稿では、国内諸都市で起こりつつあるオープンイノベーション・エコシステム形成の動きや、日本企業のオープンイノベーションへの取り組みの事例を概観することを通じて、都市とイノベーションの関係について考察した。